ヒナちゃんのこと




この祝賀会当日の舞台裏では悲しい出来事がありました。

その前夜、社務所にて明日の祝賀会の最終的な確認作業をしている時でした。大沼さんより、この度の祝賀会の司会をして頂くことになってた益田さんのことで電話がありました。
「益田さんの子供が病気になって危ないらしい。今から病院に行ってくる。」と急報がありました。この祝賀会に子供を3人連れて、親子で来て下さる予定だった益田さんの2歳になる次女ヒナちゃんが4、5日前からインフルエンザをこじらせ、様態が急変したというのです。
それまで熱が出てもおかゆを食べたり、お母さんと話をして笑顔を見せたりしていたようです。昨日から意識がなくなり緊急入院したとのことで余りに唐突で驚きを隠せませんでした。

それから会長や事務局長と連絡を取ったりして、しばらく様子を見守ることにしました。
私は病気なんかに負けないで元気に回復してくれるよう祈ることしか出来ず、何も出来ない自分に苛立たしさを覚えました。でも病気はかなり深刻だったようです。



午後11時過ぎになって、「やっぱりだめだったよ・・・」と落胆した大沼さんから悲しい知らせが入りました。こんなことがあっていいものでしょうか。。。
あっけなく夭折されたという訃報を聞いて、運命のイタズラにしては余りにも酷すぎて、ため息しか出ませんでした。

つい先日、一ヶ月もみたない暮れの「餅つき」に、初めてヒナちゃんは参加してくれて、ちょこちょこ走り回ってこどもたちと遊んでいました。
お正月にはお母さんにだっこされて神社へお参りに来ていました。
そんな幼くかわいい姿がまぶたに浮かび、本当に信じられませんでした。

事務局としても急遽、明日の会を延期するかどうするかと言う話をしましたが、子供を亡くし悲しみにくれる益田会員自身私事で順延されるのは申し訳ない。会には出れませんが是非明日やって下さい。とおっしゃってくれました。
結局、祝賀会という名目上この訃報を伏せ、予定通り行う方向で決定しました。

当日、役員の方々は会の準備の合間を縫って夫々ヒナちゃんのお通夜へうかがいました。
祝賀会の抽選会では参加した子供達みんなに景品が行き渡るようにと準備していました。そしてヒナちゃんの「お絵かきセット」も用意していました。益田さんの友人でもあり、
司会を担当した大沼さんもつらかったでしょうが、精一杯やり遂げて下さいました。
我々にとってはある意味悲しみの中での祝賀会でした。




翌日は小雨の降りしきる中、お葬式に参列して玉ぐしを捧げました。宮司が斉主を勤めておりましたが、淡々と挙げる祝詞は時折涙でつまったりしておりました。
棺の中の幼いヒナちゃんは綺麗にお化粧をして、スースー寝息を立てて眠ってるような感じでした。大勢の人たちが惜しみながらお別れをしました。
私も同じような年の子供を持つ親として誠に残念で悔しく、言葉がありませんでした。2歳という短い時間だったかもしれないけど、ヒナちゃんの元気だった頃の笑顔を忘れることなくお兄ちゃんやお姉ちゃんたちはヒナちゃんの分まで頑張ってほしいと願います。


この場をお借りしてヒナちゃんのご冥福お祈り申し上げます。

                                   (益田、大沼両氏の承諾を得て掲載させて頂きました。)


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